■すべてはアーセナルの紅白戦から始まった。テレビ技術の進化とサッカー
そもそも、テレビの発明は、100年ほど前のことになる。ラジオ放送の開始が1920年代であることを考えると、同時期に「次代の夢」、テレビ放送が実用化への第一歩を踏み出していたことになる。
映像を電気信号に変換して無線通信で送り、それを受けて再び映像に戻すというテレビ放送の技術は、18世紀末には予想され、1920年代に世界各地でさまざまな人がその実験に成功した。日本の高柳健次郎もその「テレビの父」のひとりだった。1926年、40本の走査線を使って受像機にカタカナの「イ」の文字を映してみせた。ちなみに、現在の日本のテレビ放送の標準である「ハイビジョン」は、1画面に1125本の走査線を使用している。
世界各地での同時多発的な「発明」の後、テレビ技術は急速に発展し、1936年には英国のBBCが本放送を始める。そしてBBCはスタジオを飛び出してスポーツを生中継することを企画、1937年9月16日、アーセナルのスタジアムからの中継に成功する。これがサッカーの世界初めての「生中継」だった。
といっても公式戦ではない。「アーセナル×アーセナル・リザーブ」、すなわち紅白戦だった。アーセナルが選ばれたのは、アーセナルのハイバリー・スタジアムがBBCの放送施設のあった「アレクサンドラパレス」という建物から4.4キロの近さにあったからだった。
つづく






















