世紀の決戦が目前に迫る北中米ワールドカップ。頂点をかけたファイナルは、若き才能きらめくスペインと、前回覇者アルゼンチンによる歴史的な大一番となる。この激闘の中心に君臨するのが、衰えを知らぬフットボールの神、リオネル・メッシだ。サッカージャーナリスト大住良之による分析の後編では、過去の「お散歩」イメージを覆す今大会の驚異的なプレースタイルと、18歳での衝撃的デビューから積み上げてきた、前人未到の不滅のW杯記録の軌跡をたどる。
■【39歳の驚異的な猛追】「お散歩」の常識を完全破壊! 誰よりも早くスペースへ走り込む知性とスピード
得点だけではない。今大会のメッシは、「お散歩」とはほど遠いプレーヤーになっていた。もちろん、歩いている時間もある。プレーした後、アルゼンチンも相手チームの選手たちもはるかかなたのアルゼンチン陣深くに入って懸命に戦っているときに、まだ相手陣のコーナーあたりからブラブラと帰ってくる姿も珍しくない。
しかし多くの時間において、彼はチームの一員としてきちんとポジションを取り、必要なら相手にアプローチしてプレッシャーをかけ、そして味方のボールに合わせてスペースにも走り込む。何より、次のボールがどこに出てくるかを誰よりも早く察知し、そこに走り込むスピードは、とてもワールドカップ出場歴20年、6大会目の39歳とは思えない若々しさだった。
そのプレーを、彼は6月16日にカンザスシティで行われたアルジェリア戦から、7月15日にアトランタで開催された準決勝のイングランド戦まで、力を抜くことなく繰り返してきたのである。グループステージ第3戦のヨルダン戦には、後半15分からの途中出場だったが、それでも1点を決め、他の6試合はすべてフル出場で、ノックアウトステージに入ってからは2回も延長戦まで戦っている。
しかし、それでも準決勝のイングランド戦、絶体絶命の状況に追い詰められた試合の終盤には、2アシストで逆転勝利を呼び込んだ。なかでも後半アディショナルタイム2分、右サイドでボールを受けて間髪を入れずに相手DFに向かってドリブルを始め、あっという間に抜き去って「右足」で正確無比なクロスを送り、ラウタロ・マルティネスの決勝点をアシストしたプレーは信じ難いものだった。
































