強豪国が激突するワールドカップの終盤戦を見据えると、ラウンド32で敗退した日本代表の現在地がより鮮明に見えてくる。世界トップレベルの戦いで勝つために、日本の代名詞である「パスサッカー」は今後どう進化すべきなのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が、ブラジル戦で光った佐野海舟のプレーを題材に、日本に足りない「新たな選択肢」を提言する。
■「奪ってつなぐ」は常に正解か?世界の強豪の強引な打開策
「奪ったボールを正確につなげるか」
この表現自体はその通りだと思う。
しかし、奪ったボールは“つなぐ”ことが常に正しい選択なのかという疑問がある。
強豪同士のハイレベルな戦いを見ていて気付いたことの一つが、彼らはボールを奪った後、そのボールを“つなぐ”だけではなく、そのまま自分で保持して自ら強引にボールを前に運んでいこうとする選択が多いということだった。いや、まず自分で持ち込むことを考えて、それが不可能な場合にパスを選択しているような気もする。
ボールを奪われた相手はすぐに奪回のためにプレスをしかけてくる。
そこでパスをつないで逃げることも、当然正しい選択である。しかし、そこで奪ったボールをパスでつなぐのではなく、自ら強引に運んでいくという選択もあるはずだ。
そこで思い出すのが、ブラジル戦で生まれた佐野海舟の先制ゴールの場面だ。
前半29分、ブラジルの右サイドバック、ダニーロからの横パスをカットした佐野は、そのボールをパスでつなぐのではなく、躊躇なく自ら持ち出した。その一歩目の早さによってブラジルの守備陣も対応が遅れ、バイタルエリアまで持ち込んだ佐野はそのままゴール左下隅に低いシュートを決めて、日本に先制点をもたらしたのだ。






























