■「2年連続の2桁得点」が証明する実力

「コンスタントに試合に出ることは大事ですね。出たり出なかったりになってしまうと、どうしても結果を出しづらくなる。

 ただ信頼をつかまないと、コンスタントに試合には出られない。シュート練習どうこうっていうより、やっぱりコンスタントに試合に出るところでチャンスも増えてくる。もちろん、チャンスで決めるか決めないかは自分の力次第になりますけどね」

 ランスでは、リーグ・アンで11ゴールの2桁得点を記録した。そしてチームが2部に落ちた昨季も、リーグ・ドゥで14ゴールの2桁得点に到達した。カテゴリーが変わっても、結果を残した。そこに中村は確かな意味を見ている。

「リーグ・アンで2桁得点を記録した。結果を残せたと思う。1シーズンだけならラッキーで2桁いくと思うんですけど、やっぱ2年連続の2桁得点は、ちゃんと実力がなければ出せないと思う。そういうところで、自分の力を示せたかなと思います」

 フランス2部に移れば、リーグの中でランスは「格上」の存在だ。相手は引き分けを狙い、自陣でひたすら守備を固めることもある。実際、中村自身も「2部だから簡単というわけではない」と強調する。

「2部で毎年2桁取っているFWが1部リーグへ行くと、1〜2点しか取れないこともある。逆に2部へ戻るとまた点を取る。サッカーが少し違うんですよね」

 だからこそ、フランスでの2年連続の2桁得点には重みがある。

 かつてU-17W杯でフィル・フォーデン擁するイングランドに敗れた少年は、18歳で欧州に渡り、何度も壁に当たりながら、25歳でついにA代表としてW杯のピッチに立った。そこで初戦にゴールを決め、次戦でアシストを記録した。それは、突然訪れたブレイクではなかった。

 考えすぎないこと。焦らないこと。余計な声を受け流すこと。それでも、試合では結果を出すこと。

 中村敬斗の海外挑戦は、彼にその感覚を与えた。フランス2部で戦った時間も、決して遠回りではない。そのすべてが、世界の舞台で生きるための力になっている。

 中村敬斗の北中米W杯が終わった。グループステージでオランダ相手に先制弾を奪い、チュニジア戦でも鋭いアシストで魅せた確かな爪痕は、世界に「Keito Nakamura」の脅威を十分に植え付けたはずだ。ブラジルとの死闘に敗れはしたものの、この大舞台で結果を残した実績が、彼のキャリアをさらに加速させるだろう。
 現在、フランスのスタッド・ランスに所属する中村だが、この夏の移籍市場では、かねてより噂されているドイツ・ブンデスリーガのドルトムントや、彼が小学生時代に憧れたプレミアリーグのクラブへのステップアップも現実味を帯びている。焦らず、気負わず、ナチュラルに生きるこの若きストライカーの、次なるステージでの飛躍と4年後の再びの挑戦が今から楽しみでならない。

【中村 敬斗(なかむら けいと)プロフィール】 2000年7月28日生まれ、千葉県我孫子市出身。身長180cm、体重75kg。三菱養和SCユースから、高校2年時の2017年に17歳でガンバ大阪とプロ契約を結ぶ。2019年夏に、オランダ1部・FCトゥウェンテへ期限付き移籍して渡欧。その後、シント=トロイデン(ベルギー)、FCジュニアーズOÖ(オーストリア2部)を経て、LASKリンツ(オーストリア1部)でブレイク。2023年夏にフランスのスタッド・ランスへ完全移籍し、1部・2部を通じて2シーズン連続の2桁得点を達成した。日本代表としては2023年3月にA代表デビュー。2026年北中米W杯ではグループステージ初戦のオランダ戦でゴール、第2戦のチュニジア戦でアシストを記録するなど、日本の左サイドの絶対的レギュラーとして活躍した(全4試合スタメン)。ポジションはフォワード、ミッドフィルダー。

  1. 1
  2. 2