■常識を超えている男たち

 スペインのバルセロナで「新星」と期待され、試合にも出ていたメッシの名は知っていたが、モドリッチというのは初めて聞く名だった。すでに風格さえ漂わせていたメッシと比較すると、モドリッチの「未来」はまだ見えなかった。なにしろ、小さく、そして鉛筆のように細かった。テクニックは素晴らしかったが、国際的に通用するのか疑問だった。

 試合はクロアチアが先制したものの、アルゼンチンがメッシの活躍ですぐにひっくり返す。右サイドでボールを受け、一度味方に渡したメッシは、ペナルティーエリア内で縦パスを受け、左ポストぎりぎりにボールを送った。走り込んだカルロス・テベスが押し込んで同点。その直後には、メッシが右からカットインし、素晴らしいコントロールシュートをゴール左隅に送り込んだ。メッシにとってアルゼンチン代表での初ゴールだった。

 ドルトムントも氷雨で寒かったが、この夜のバーゼルは凍てつくような寒さだった。同点ゴールにアシストした後、メッシは右側のゴールラインから出てスタンドのファンにアピールしようとしたが、ゴール裏が凍りついていてスパイクが滑り、あやうく倒れるところだった。

 ロナウドはモロッコの西、大西洋に浮かぶマデイラ諸島で生まれ、12歳のときにポルトガルの首都リスボンの名門スポルティングに加入、16歳でトップチームにデビューした。2003年8月、18歳のときには、ポルトガル代表にデビューすると同時に、イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドに1224万ポンド(当時のレートで約23億円)という巨額で移籍していた。メッシとモドリッチが国際舞台に足を踏み入れたころ、ロナウドはすでにプレミアリーグのスターとなっていたのである。

 かつては、サッカー選手のピークは20代後半で、多くの選手が30代半ばには引退していった。サッカーを取り巻く医学の進歩と、コンディショニングの改善により、選手寿命が延びているのは間違いない。Jリーグでも、40歳前後の選手は何人もいる。

 しかし世界のトップクラスで、しかもワールドカップでこれほど長くプレーし、活躍するのは、しかもそんな選手が3人もいるのは尋常ではない。その3人を実際に見ることができたのは、大きな幸せだ。

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