■大きく影響する「運」

 いや、そもそもノックアウト式トーナメントでどこまで勝ち上がれるかは運によるところが大きい。

 たとえば、前回大会の決勝戦はアルゼンチン対フランスという誰もが納得する好カードとなったが、両国が決勝で顔を合わすことになったのは組分け抽選の結果やグループリーグの成績によってたまたまトーナメントの逆の山に入ったからである。両者がもし準々決勝で対戦していたら、どちらかはベスト8止まりだったのだ。

 1990年イタリア・ワールドカップでブラジルはグループCを全勝で1位通過した。一方、グループBでは前回優勝のアルゼンチンが開幕戦でカメルーンに敗れ、1勝1分1敗で辛うじて3位となった。だが、当時のワールドカップは24か国参加で行われていたため、今年の大会と同じようにグループ3位でも通過することができた。アルゼンチンも3位通過を果たし、複雑な組み合わせ表に基づいてラウンド16でブラジルはなんとライバルのアルゼンチンと対戦することになった。

 ディエゴ・マラドーナは左足首などを負傷しており、アルゼンチンは不調。試合内容としてはブラジルが圧倒的優位に立って攻撃を続けた。だが、ブラジルのシュートはGKのセルヒオ・ゴイコチェアにセーブされ、ゴールポストやクロスバーに阻まれ続けた。

 そして、81分にそれまでほとんどプレーにかかわってこなかったマラドーナがドリブルでブラジルDF全員を引き付けてからフリーのクラウディオ・カニージャにパスを通してアルゼンチンがゴールを決め、ブラジルはまさかの敗退を喫してしまう(アルゼンチンは、その後も勝負強く決勝まで勝ち進んだ)。

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