■長谷川唯&清水梨紗の投入で右サイドが完全覚醒!

 打開したい日本は、ハーフタイムに一挙4人を投入する。この交代策が、ピッチの空気をガラリと変えた。

 送り込まれた清水梨紗と長谷川唯の2人が右サイドに入ると、日本のパスワークは一気に極上のクオリティへと跳ね上がる。長谷川が変幻自在のタクトで中盤を支配し、正確無比なワンタッチパスで相手の守備網を切り裂けば、絶妙なタイミングで清水がオーバーラップ。早めの鋭いクロスと、バイタルエリアでの針の穴を通すような細かいパスを織り交ぜた猛攻で、完全に主導権を握り返した。

 スタジアムが最も沸いたのは後半中盤だ。長谷川の鋭いスルーパスに反応した前線が完全に抜け出し、ゴール至近距離から決定的なシュートを放つ。誰もが「同点か」と確信した瞬間だったが、この日は南アフリカのGKが神ががっていた。信じられないような超反応のビッグセーブで日本の歓喜を阻み続ける。

 左サイドでは宮澤ひなたが気の利いたポジショニングでセカンドボールを拾い、セカンドアタックの波を何度も作り出す。日本のターンが果てしなく続く、手に汗握る怒涛の展開。しかし、幾度もの決定機を驚異的なキャッチングで死守する相手GKのパフォーマンスが、「あの日本に勝てるかもしれない」という南アフリカ全体の士気を限界まで引き上げていく。

 終盤、狩野監督は第1戦で2ゴールを挙げた藤野あおばを右サイドに走らせ、さらにはセンターバックの古賀塔子を最前線へ上げるスクランブル態勢(パワープレー)を選択。執念の同点弾を目指して最後まで敵陣に襲いかかった。

 だが、1戦目のリベンジ、そしてFIFAランクで40以上もの差がある日本からの「ジャイアントキリング」へ向けて、文字通り魂のこもった泥臭いディフェンスを続ける南アフリカの壁を最後まで崩しきることはできなかった。0-1のまま、無情のタイムアップのホイッスルが響いた。

■敗戦のなかに見えた、未来への明確なロードマップ

 試合後、歴史的白星に歓喜を爆発させる南アフリカの選手たちに対し、スタンドのファンからはその健闘を称える温かい拍手が送られた。

 個のタレント力やひらめきが見事に融合して大勝した第1戦に対し、メンバーを大幅に入れ替えたこの第2戦では、ボールの奪いどころや、崩しの局面におけるチームとしての“約束事”の不足が浮き彫りとなる結果となった。

 もっとも、新体制となったチームはまだ始動したばかりだ。戦術を細部まで作り上げ、全員で共有していく作業はこれから本格化する。組織としての課題をこの段階で痛烈に突きつけられたことは、選手個々がディテールの重要性を再認識する素晴らしい機会になったと言える。ここで得た悔しさと収穫を糧に、チームがさらなるブラッシュアップを遂げるのであれば、目標であるワールドカップ王座奪還へ向けて、間違いなく大きな意味を持つ活動期間だったと振り返ることができるはずだ。

■試合結果
日本女子代表 0-1 南アフリカ女子代表

■得点者
9分 リンダ・モトルハロ(南アフリカ女子代表)

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