■第1回大会から続く「応援歌」
ワールドカップで初めて大会の「公式ソング」がつくられたのは、1990年のイタリア大会のことらしい。エドゥアルド・ベンナートとジャンナ・ナンニーニの男女2人が歌った『Un’estate italiana(イタリアの夏)』という曲だった。
それまでのワールドカップにも「歌」はあった。しかし大会全体の公式ソングという形ではなく、出場チームの応援歌のようなもので、古くは1930年の第1回ワールドカップ時に開催国ウルグアイで『Uruguayos Campeones(チャンピオン・ウルグアイ)』という曲が発表され、大ヒットしたらしい。1世紀近く前の曲とは思えないテンポの良い曲だ。
1970年の大阪万博を高校時代のサッカー部仲間と訪れたとき、友人のひとりが「ペルー館」で1枚のLPレコードを見つけてきた。私たちが万博会場に行ったのは8月26日の猛烈な暑さの日で、夏休み終盤とあって、広大な万博会場はそれまでの人生で見たことのない人の波で埋まっていた。長蛇の列に並ぶのはまっぴらと、私たちは、その年のワールドカップに出場した国のパビリオンなどをいくつか回ってお茶を濁した。「ペルー館」はそのひとつだった。
友人がそのペルー館で1枚のLPレコードを見つけ出した。収録曲のひとつに『Peru Campeon』という曲があったからだ。
「ワールドカップに関係する曲に違いない」
チーム内で最もカンの良かった彼の目に間違いはなかった。帰って聞くと、まさに1970年ワールドカップでブラジルに次ぐ「美しい攻撃サッカーをするチーム」と評価され、ベスト8(準々決勝敗退)という好成績を収めたペルー代表の応援歌だったのである。曲の途中には、キャプテンのエクトル・チュンピタスを皮切りに代表選手の名前が流れるように出てきた。


















