■ 66分の攻撃:「遠目からのシュート」の徹底

 ボールをもらった中野瑠馬がドリブルしてシュートを打つ。ゴールから大きく外れる。この場面もそうだが、左サイドには佐藤響がフリーでいたのだが、佐藤響を使わずに迷いなくシュートを打っている。この試合で何度も目撃した似たような場面だ。

 つまり、曺監督が遠目でもシュートを打ってもいいとOKを出しているので、実行しているのだろう。

■ 78分の失点場面:「ラインコントロール」とズレ

 この場面は、京都にとっては難しいシーンである。コーナーキックからクリアされたとき、京都はラインを上げた。ボールが右に出されて満田誠がすぐにクロスを入れる。

 ンドカ・ボニフェイスが京都の選手の頭の上からヘディングを仕掛ける。ボールはオウンゴールにも思われたが、ンドカ・ボニフェイスの得点が認められた。

 神戸がセカンドボールを拾ったときに、京都はラインを上げている。そしてボールが横に出されてマークが微妙にズレてしまった。だから、ンドカ・ボニフェイスと京都の選手は競り負けてしまったのである。

■ 曺サッカーの「真髄」と浦和にもたらす「新熱狂」

 試合は、0-1で京都の敗戦となった。この試合で分かったことは、京都の人につく守備の徹底さと、個人のスキルを中心にした攻撃。フリーならばシンプルにシュートを選択するやり方である。もし、浦和レッズの監督に就任したならば、人につく守備を徹底して植え付けて、攻撃は自由にやらせる選択をするのだろうか。

 京都ファンにとっては、これほどまでにチームの歴史を塗り替え、魂を注入してくれた指揮官への感謝と誇りは尽きないだろう。そして浦和ファンにとっては、田中達也暫定監督が泥沼から引き上げ、見事に取り戻した「勝者のメンタリティ」に、曺監督の不屈の闘志と「人につく守備」の徹底が融合すれば、埼玉スタジアムに新たな熱狂と常勝のカルチャーをもたらす予感に胸が高鳴るはずだ。

 曺貴裁という男が持つエネルギーが、次のステージでどのような熱いドラマを生み出すのか。両クラブのファンのみならず、日本サッカー界全体がその動向から目を離せない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3