後藤健生の「蹴球放浪記」第317回「南アフリカからドイツの空、繋がるW杯」の巻(2)人類史から一転、ドイツW杯の休日に乗った「世界最古のモノレール」の画像
2010年南アフリカ大会のADカード。提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は世界中をめぐる。時には、あるきっかけで遠く離れた土地の思い出が結びつくことがある。2010年ワールドカップ開催国の風景が、そんなスイッチになった。

■アフリカの「もしも」の世界

 アフリカ大陸は人類が誕生した場所です。そして、アフリカを舞台に数百万年ほどかけて猿人から原人、旧人を経て新人(つまり、われわれホモ・サピエンス)に進化してきたのです。

 ホモ・サピエンスがアフリカ大陸を出たのは6万年ほど前と言われていますが、アフリカ大陸ではその前から長い年月をかけてホモ・サピエンスが進化しており、その結果、非常に多様な民族が住んでいます。

 コイサン人もそのひとつ。南部アフリカ(南アフリカやナミビアなど)で大昔から生活していました。

 ところが、今から600年ほど前にアフリカの中部、今のカメルーンやナイジェリアの辺りから「バンツー系」と呼ばれる黒人たちが南下して、南部アフリカに到達します。僕たちが「黒人」と言って思い浮かべるような人々。コイサン人より色が黒く、体も大きい人たちです。

 一方、ほぼ同じころ、アフリカ大陸西岸の大西洋を南下してヨーロッパ人も南部アフリカに到達。アジアへの航路を確保するため、南部アフリカに植民地を築きます。

 もし、バンツー系黒人がやって来るのがもう少し早かったら、南部アフリカは彼らの国になっていたでしょう。逆に、ヨーロッパ人が先にやって来ていたら、南部アフリカは完全な白人の国になっていたかもしれません。

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