■W杯へ向けて――「10年後の自分は考えない」

 ワールドカップ開幕まで1か月余りとなった。5歳のとき、2006年のワールドカップ・ドイツ大会をテレビで見てサッカーに魅せられ、ロナウジーニョにあこがれた中村。

 2022年カタール大会は「ただ、テレビで見て、ドイツやスペインに勝ってすごいなと、1ファンとして見ていました」と語るが、その大会の直後の活動から日本代表に呼ばれ、以後、ワールドカップ2026に向けての不可欠な一員となった。

「ワールドカップはサッカー選手としての一番の大会。それに出られるなら、本当にうれしい。でも、そのためにできるのは、目の前の一つひとつの試合に取り組むこと。いまはランスにいて1部昇格を目指しているので、その試合の一つひとつを全力でやるのが大事だと思っています」(中村)

「ただ、日本代表でプレーするのは、クラブでプレーするときと少し感覚が違う」と、中村は語る。

「サッカー選手だから誰でも自分が試合に出たいという思いはあると思うのですが、代表だと、自分が出番を与えられたときには全力で役割を果たすという思いだけで、ともかくチームが勝つことが一番の目標なんです」(中村)

 最後に、「10年後の自分を考えますか?」と聞いてみた。答えは予想どおりだった。

 「まったく考えません。これまでも、目の前のことを一つひとつやることだけでした。正直言って、1か月後のことも考えていません。とりあえずいまは、次の土曜のリーグ戦に勝つことだけを考えてますね」(※取材は4月22日)

中村敬斗(なかむら・けいと)プロフィール
2000年7月28日生まれ。千葉県我孫子市出身。2013年から三菱養和SC巣鴨ジュニアユースに所属。2017年、Uー17ワールドカップに出場し、ハットトリック。2018年、高校2年生のときにガンバ大阪に入団。2019年、Uー20W杯に出場し、同年7月、オランダ1部FCトゥウェンテへ移籍。翌年、ベルギー1部のシント=トロイデンへ移籍。2021年、オーストリア2部のFCジュニアーズへ移籍。同年、同1部のLASKリンツに移籍。2023年3月、日本代表に初選出。A代表デビューから国際Aマッチ出場6試合で6ゴールは、日本代表で54年ぶり。2023年、フランス1部スタッド・ランスへ移籍。翌年10月、欧州5大リーグで日本人初となる5試合連続ゴール。続けて、フランス1部で日本人初となる2ケタ得点を記録。今季、フランスで二季連続で2ケタ得点の快挙。リーグ最終節には1試合4ゴールをマークし、公式戦32試合14ゴール3アシストでシーズンを終えた。2026年5月10日現在、日本代表Aマッチ24試合10得点。

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