■イングランドに与えた「最大のインパクト」

 前半23分、三笘薫が自陣でボールを奪い、細かいパス交換からスピードを上げて中央をドリブルで進み、左にパス。ワンタッチしてペナルティーエリア左角からゴールに向かう中村。対峙するのは、DFエズリ・コンサ。その背後にはDFマーク・グエイ。中村得意の右から「巻く」シュートかと思われた。しかし、中村は中央にパス。走り込んだ三笘がワンタッチで決めた。

 「カットインして右足で打とうと思いましたが、向かい合ったとき、相手が僕の打ちたいシュートの延長戦上にいたので、打ったら当たるというのと、打っても曲がりきらずに外れる…。三笘選手が走り込んでくるのが見えたので、パスしたって感じですね。一瞬の判断、感覚でした」(中村)

 攻撃回数が多かったわけではない。しかし、この試合でイングランドのファンやメディアに最も大きなインパクトを与えたのが中村だった。得点した三笘や、ボランチとしてプレーした鎌田大地は、プレミアリーグの選手だからよく知っている。堂安律の名前も知られていたし、3日前のスコットランド戦で決勝点を挙げた伊東純也の名前もおなじみだった。しかし、この中村敬斗という選手は、メンバー表を見れば、フランスの2部所属ではないか―。

 「この試合では、それが僕の強みかなと思っていました。相手が油断して、つけいるスキが生まれるんじゃないかと…」(中村)

 中村は、「この試合は、これまでのサッカー人生でトップ3にはいるぐらいの大きな試合だった」と語った。この試合を「ステップ」に、フランス2部での過酷なシーズンを14ゴール3アシストという最高の結果で締めくくった中村。ワールドカップで大きく世界のトップ舞台に「ジャンプ」する姿を、私は期待せずにはいられない。

つづく

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