サッカー界のレジェンドジャーナリスト・大住良之氏が、フランスで躍動する日本代表MF中村敬斗に迫る特別コラム&インタビュー。イングランド代表をも驚愕させた規格外の「個性」は、いかにして生まれ、どこへ向かうのか。日本サッカーの歴史を塗り替える才能の「正体」に鋭く切り込む。なお、中村は現地5月9日のリーグ最終節で驚異の4ゴールをマーク。今季14ゴール3アシストという圧倒的な数字を引っさげ、ワールドカップへと向かう。(第1回/全3回)
ひとつの国の「サッカー文化」の深度は、「個性」でわかる――。私はそう考えている。
サッカー選手はイマジネーションの産物である。ボールをもったとき、どんな方向に動いても、どんなボールタッチをすることもまったくの自由。その選手に任されている。ピッチは広く、他のプレーヤーとの関係は味方10人、相手チーム11人。その場その場のプレーの選択肢は、ほぼ無限と言っていい。しかし多くのプレーヤーがいくつかの「スタイル」に分けられる。
さまざまな「スタイル」は、その国のサッカーが紡いできた「歴史」に負っている。歴代のスターたちが繰り広げてきたプレーのイメージが少年たちに刷り込まれ、成長とともに自己の特徴を織り込みながら同じような「スタイル」をもった新たなスターに育っていく。
私がブラジルのサッカーに驚嘆の思いを抱くのは、そうした「スタイル」を継承しつつ、常に新しい「個性」を生み続けているからだ。ペレの時代には誰もがペレにあこがれ、ペレのプレーをまねした。しかし、その後登場したのは、ロマーリオ、ロナウド、ロナウジーニョ、そしてネイマールといった個性豊かなスターたちだった。


















