【W杯初戦・オランダ分析】世界7位の現在地(8) 日本代表、初戦勝利の「カギ」! 敵将クーマンが漏らした戦術のヒントの画像
7月8日に35歳の誕生日を迎えるフィルジル・ファン・ダイク主将。これが最後のW杯になるのか。撮影/渡辺航滋(Sony αⅡ使用)

 W杯の短期決戦において勝敗を分けるのは、ピッチ上の戦いだけではない。敵将の些細な発言から戦術を読み解き、日本勝利への糸口を見つけ出す「情報戦」だ。
 現地オランダで長年のキャリアを持つ中田徹氏による集中連載・最終回。初戦勝利を目指す日本代表への提言と、オランダ指揮官が自ら漏らした日本攻略の「カギ」をつづる!(第8回/全8回)

■公開情報に潜む戦術意図。情報戦の重要性

 エクアドル戦のウォーミングアップ中、ロナルド・クーマン監督は試合を生中継したNOS局とのインタビューを行い、右SBデンゼル・ドゥムフリースについてこう語っていた。

「デンゼルはノルウェー戦では高めのポジションを取ったが、今日の試合では右ウイングに(このポジションを本職にする)ドニエル・マーレンが入るため、引き気味にプレーする時間が長くなる」

 クーマンの意図は、キックオフ1時間前に配られるラインナップ表をチェックすればだいたい想像がつく。それでもクーマンはかなりハッキリと戦術の意図を説明したのだ。これで「クーマンはこうしてくるだろう」から「クーマンはこうしてくる」と情報の質が一気に高まる。シンプルなものではあるけれど、この手の直前情報は時に宝の価値を持つ。

 元外交官の佐藤優氏は複数の著書で「諜報活動の95%は公開情報」と記している。いわゆるスパイ行為は5%ほどにすぎない。取材やスカウティングでも、テレビ、インターネット、雑誌・新聞といった公開情報、最近だとSNSやデータサイトから、多くの基礎情報を得ている。オランダ2部リーグのチームを扱う地方の小さな新聞には、練習でシステム変更を試していたことが載っていたりする。このような地道な作業を怠ると、対戦相手のチームの監督が会見で「まさかシステムを変更してくるとは予想外だった」と驚くことになる。

 一般のジャーナリストや、対戦相手を分析するスカウト担当者はスパイ行為は御法度だが、公開情報から対戦相手の戦術意図を知るのは自由だ。サッカーの試合前にはほぼ間違いなく監督インタビューがあり、特にオランダの場合は選手起用法やフォーメーションの狙いを具体的に語ることがある。

 日本代表の関係者はキックオフ数十分前から放送の始まるNOSの中継でクーマンが何を語るかチェックすべきだろう。

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