W杯本番で森保ジャパンと同じ「3-4-2-1」を組む強豪エクアドルと親善試合で激突したオランダ。日本戦に向けた“完全なシミュレーション”から見えてきたのは、彼らが抱える明確な「弱点」だった。
四半世紀にわたり現地取材を続けるジャーナリスト・中田徹氏が、日本代表が初戦で突くべき“穴”と、華麗さを捨ててまで泥臭く戦う現代オランダの強かさを分析する。(第7回/全8回)
■日本と同じ「3-4-2-1」への対策と5バックのテスト
試合そのものがスペクタクルなものではなかったため、ノルウェー戦後のオランダ人記者たちは「しょっぱい試合だった」と苦い表情。しかし、ふだんオランダ代表を見ることのない日本人記者は「オランダ、かなり強そうですね。特にライン間を使ったパスワークが良かったです。守備もかなり堅い」と驚いていた。
3月31日、オランダは南米予選を2位通過したエクアドルと戦った。この試合で設定された課題は3-4-2-1システムを採用する国との戦い方。控え陣の見極め。5バックシステムのテストだった。残念ながら、これらのテストは12分という早い時間帯で右SBデンゼル・ドゥムフリースが退場したため、チームとして思うようなデータを取ることができなかった。
ノルウェー戦の中盤(ライアン・フラーフェンベルフ、ケース・スミット、タイアニ・ラインダース)を総入れ替えし、クインテン・ティンバー、イェルディ・スハウテン、シャビ・シモンズの3人を抜擢したエクアドル戦、立ち上がりから攻勢に出たオランダは3分、GKマルク・フレッケン始動のビルドアップからグラウンダーのパスを使った縦に速い攻めを披露。コーディ・ガクポのクロスがエクアドルDFウィリアム・パチョのオウンゴールを誘発し、先制した。
南米予選では鉄壁の守備を見せつけたエクアドル相手に、その後もオランダは手を緩めず攻め立てた一方、エクアドルもスピードを生かした攻撃でオランダゴールを脅かし、ファンは序盤のエンターテイメントを楽しんだ。しかし、12分に退場者を出すとオランダは専守防衛に徹し、失点を24分、エネル・バレンシアに決められたPKにとどめ、試合を1-1の引き分けにまとめた。
欧州予選のオランダは8試合で失点4と一見、堅い守備だったように見えた。しかし実際は相手カウンターへの備えが十分でなく、縦に速い攻撃にうろたえるシーンが何度もあった。また4失点はポーランド戦(2試合とも1-1)、リトアニア戦(アウェーで3-2の勝利)と、いずれも3-4-2-1を採用する国だった。これが偶然でないのはロナルド・クーマン監督も理解している。
「オランダに対して守備を固めてくる国も、攻勢に出る時間帯があり、ファイナルサードで5トップになる。4-3-3のオランダは最終ラインで1枚足らない状況に陥り、そこを突かれた。解決策はいくつかある。その一つはウイングが相手のウイングバックに付く方法だが、コーディ(ガクポ。左ウイング)を守りに回すのはもったいない。マークの受け渡す方法は、高度なコミュニケーションが必要。5バック? オランダ代表は過去(EURO2020、22年W杯)でこのシステムを採用したから慣れている。本番までにしっかり準備したい」
日本代表もオランダの苦手とする3-4-2-1を基本フォーメーションとする国。それだけにエクアドル戦のオランダがどのような戦い方を示すか、興味深かったが、前半残り32分間は4-4-1、後半は5-3-1のシステムで自陣に引きこもってしまった。クーマン監督は残念そうに語った。
「5バックシステムはもともとテストしたいと思っていたもの。11人対11人でも後半は5バックを試す予定だった。しかし、W杯本番でも退場者を出すのはあり得ること。1人少なくてもしっかり戦えることを示せた」


























