■瀕死のチームにもう一度「勝てる」と思わせる作業

 もっとも、現時点のトッテナムを「生まれ変わった」と表現するのは早い。正確には、デゼルビが必死に風向きを変えようとしている段階である。ブライトン戦は今季のリーグ戦でもっとも前向きな内容だったが、それでも勝ち切れなかった。つまり、希望は見えたが、現実はまだ変わっていない、ということだ。

 それでも、確かな前進はあった。少なくとも、失点した瞬間に何もかも終わったような顔をしていたチームではなくなりつつある。言い換えれば、今デゼルビがやっているのは、瀕死のチームにもう一度「自分たちは勝てる」と思わせる作業だ。

 残り5試合。はたしてトッテナムは残留できるのか? その答えはまだ誰にも分からない。だが、ブライトン戦で見えたのは、完全な蘇生ではなくとも、少なくとも心停止状態からの脱出を試みるチームの姿だった。

 そしてサポーターもわずかな変化を感じ始めている。降格危機のクラブにいま必要なのは、壮大な理想ではなく、まず1勝だろう。そしてその1勝をもぎ取れたとき、デゼルビの本当の仕事が、ようやく始まるのかもしれない。

つづく

(3)へ続く
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