プレミアリーグでまさかの降格危機に瀕する名門トッテナム。イゴール・トゥドール体制を早々に諦め、新たに名将ロベルト・デゼルビを新監督に迎えたが、彼が最初に着手したのは戦術の浸透ではなく、崩壊したチームの「心」を蘇らせることだった。ダミアン・ハーストの彫刻が並ぶ超高級レストランで行われた決起集会から見えてくる、新生スパーズの現在地とは。(文:田嶋コウスケ/英ロンドン駐在記者)
■単なる不振ではない、クラブを揺るがす危機
トッテナムがプレミアリーグ降格の危機に瀕している。
4月19日に行われたブライトンとのホームゲームは、2−2のドローに終わった。終盤まで2−1でリードしながら、後半アディショナルタイムに追いつかれる痛恨の展開。今年に入ってから続く国内リーグ未勝利はさらに長引き、順位は降格圏18位のままだ。残留圏17位ウェストハムとの差は、まだ絶望的というほどではない。だが、残り試合が「5」まで減った現実を見れば、トッテナムがいま直面しているのは、単なる不振ではなく、クラブの立ち位置そのものを揺るがす危機だと分かる。
もちろん、クラブも手を打った。
イゴール・トゥドール体制をわずか5試合で打ち切り、新たに招いたのがロベルト・デゼルビ監督である。ブライトン時代には、緻密なビルドアップと大胆なポジショナルプレーで高い評価を受けた指揮官だ。だが、その名前から連想されるような“デゼルビ流”のサッカーが、就任直後のトッテナムでそのまま再現されているわけではない。むしろ実際に起きていることは逆に近い。いま彼が取り組んでいるのは、戦術の上書きではなく、壊れかけたチームを最低限もう一度立たせる作業である。













