■ボール支配率と勝利は必ずしもリンクしない
現代サッカーではプレー強度とスピードが重視される。秋田の吉田監督がボール支配率やパスの本数にこだわらないのも、それらはゴールを奪うための手段だからだ。9節までパス総数が最多の北海道コンサドーレ札幌はEAST―Bグループで8位、3位の愛媛FCはWEST―Aグループで6位、4位の奈良クラブはWEST―Aグループで最下位と、ボール支配率と勝利は必ずしもリンクしない。ボールを支配しなくても、ゲームを支配することはできるのだ。
ボールを保持することで主導権を握るとのアプローチをとらない秋田は、セットプレーを重要な得点源としている。とりわけロングスローは、守備側にはかなり厄介だ。
というのも、CKやFKに比べると、ロングスローはセカンドボールがどこに落ちるのかの予測が難しい。なおかつ、ゴールに近いところに落ちることが多い。不確定要素が多く含むのだ。「相手の足元にボールがこぼれる」といったことが起こりやすく、守備側からすると「どうしようもない」失点を献上してしまうのである。
吉田監督の秋田は、どのシーズンもロングスローを投げられる選手がいて、ゴール前の空中戦に強いストライカーとCBがいる。空中戦の勝利数は、J2で戦っている21年から5年連続でリーグトップだ。自陣と相手ゴール前のどちらでも、制空権を握ることができている。
J3のクラブとも戦う今リーグや、J2のレギュラーシーズンを戦う範囲において、秋田のスタイルは実効性がある。ただ、J1昇格争いに加わっていくには、オープンプレーからの得点を増やす必要があるはずだ。相手にとって不確定要素の多いロングスローは、攻撃側からすると不確実性の高いプレーである。自分たちが競り負けることもあり、そのあとのボールがどこへ飛んでいくのかが分からないからだ。再現性を求めにくいプレーと言うこともできる。それが、ロングスローの弱点である。
それでも得点を奪うことができているのだから、秋田のロングスローは相手にとって脅威なのだろう。J2で戦い続けることを最優先にするのなら、現在の戦い方を貫いていけばいい。
J2の上位へ食い込み、J1昇格を狙うのなら、オープンプレーで再現性の高い攻撃を追求していく必要がある。決定力の高い「個」の獲得も、考えていくべきだろう。
大切なのは、秋田というクラブが何を目ざすのか。それによって、将来的にはサッカーが変わっていくことになる。









