■「日本の至宝」がクラブ史上初の欧州女王へ
後半に入ると、地鳴りのような大歓声を背に、ホームのバイエルンが牙を剥く。チーム全体がアグレッシブに前へ出る中、谷川は完全にピッチを支配し始めた。前半に見せた鋭い飛び出しに加え、鋭利なドリブル突破、密集地帯を無力化する神がかったファーストタッチ、そして虚を突くヒールパス。圧倒的な「個」の力で、2万5000人の観衆を何度もどよめかせた。
しかし、守備に集中するユナイテッドも意地を見せる。全員が泥臭くボールに食らいつき、ゴールに鍵をかけた。谷川が決定的なラストパスを送り、自らも絶好機を迎えるが、ユナイテッド守備陣が間一髪のところで防ぎ続ける息詰まる攻防が続いた。
粘り強いユナイテッドが延長戦に持ち込むかと思われた終盤、ついにバイエルンが均衡を破る。81分、コーナーキックからキャプテンのグロディス・ヴィゴスドッティルが渾身のヘディングシュート。GKに弾かれながらも執念でゴールネットを揺らすと、続く84分には10番のリンダ・ダルマンが鮮やかなシュートを突き刺し、ユナイテッドを一気に振り切った。
2戦合計5-3で激闘を制したバイエルンが準決勝へ進出。クラブ史上初の欧州女王戴冠へ向け、力強く歩みを進めた。
そして試合後、異次元のスキルでミュンヘンのファンを完全に虜にしている谷川は、サインを求めるサポーターにもみくちゃにされていた。アジアを制し、今や世界が認める“日本の至宝”へ。彼女の眩いばかりの輝きは、バイエルン・ミュンヘンという名門クラブの歴史に「初の欧州女王」という永遠の金字塔を打ち立てるのだろうか。現地の熱気と彼女たちの雄姿を、ぜひ写真で目に焼きつけてほしい。
■試合結果
バイエルン・ミュンヘン 2(5合計3)1 マンチェスター・ユナイテッド
■得点者
11分 メルバイン・マラード(マンチェスター・ユナイテッド)
81分 グロディス・ヴィゴスドッティル(バイエルン・ミュンヘン)
84分 リンダ・ダルマン(バイエルン・ミュンヘン)























