スポーツと政治は交わるべきではない。だが、戦争の開始など異常事態のぼっ発で、政治がスポーツににじり寄ってくる。世界中で起きている危険な兆候を、サッカージャーナリスト後藤健生が記す。
■イランはW杯に出られるのか
イラン情勢はすでにサッカー界にも影響を与えている。
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の西地区の試合はすべて延期になっているし、紛争が長引けば4月にサウジアラビアで開催予定の決勝ラウンド(準々決勝以降)が中止もしくは延期になる可能性もある。
さらに事態が長期化すれば2027年1月にやはりサウジアラビアで開催予定のアジアカップにも影響が出るかもしれない。
そして、イラン情勢は6月のワールドカップにも影響してくる。なぜなら、イランも出場権を獲得しているからである。
イラン・サッカー連盟のメヘディ・タージ会長はアメリカによるイラン攻撃が開始された直後に「ワールドカップを楽しみに待つことは難しい」と発言した。大会不参加を示唆したとも受け取られているが、発言の真意は明確ではない。
もし、イランが棄権(ボイコット)したら、アメリカやFIFAはホッと胸をなでおろすことだろう。イランが出場した場合には様々な問題が浮上するからだ。
イラン問題はすでに昨年末から取り沙汰されていた。それまでも両国は対立を続けており、昨年の6月にもイスラエルとアメリカはイランの核施設に対して空爆を行っていたからだ。「アメリカはイラン選手団にビザを発給するが、取材陣やサポーターは入国させないのではないか?」ともささやかれていた。また、12月にワシントンで行われた組分け抽選会にイラン代表団が出席するかどうかに注目が集まったこともあった。
事態が戦争になってしまった以上、もしイランが出場しようとすれば、選手団自体の入国も問題になるだろう。









