■20万人の大歓声

 マラカナン・スタジアムは、この大会のために建設された最新で世界最大のスタジアムだった。決勝戦の正式な入場者数は、17万3850人と記録されている。しかしこれは入場料を支払った入場者の数にすぎず、その他に5万人を超す入場者がいたと言われる。20数万人の大半が、ブラジルの「初優勝」の瞬間を見守ろうとしてやってきたファンだった。

 ウルグアイは1924年のパリ・オリンピックで優勝を飾り、世界に衝撃を与えたときからおなじみになった水色のシャツ。パンツとストッキングは黒だった。それに対しブラジルは「伝統」のオール白。シャツの襟と袖口、そしてパンツのサイドに青があしらわれ、ストッキングも折り返しの部分が青。非常にスマートであり、この時点ではブラジル国民の誇りでもあった。

 そして0-0で迎えた後半2分、「20万」の観客席が大きな歓声に包まれる。ブラジルのフリアッサが右サイドを破り、ゴール左隅に先制点を決めたのだ。スタンドが大騒ぎになる。引き分けでも優勝になるブラジル。圧倒的な優位に立ったことになる。すでに優勝が決まったかのような雰囲気だ。

 しかしウルグアイはあきらめない。後半21分、右サイドをアルシデス・ギッジャが突破し、マイナスのクロス、走り込んだエールのフアン・アルベルト・スキアフィーノがゴール右上隅に突き刺したのだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3