大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第185回「カナリアの物語」(2) 「白は不吉」ブラジル代表が黄色いユニフォームに着替えた“悲劇の事件”の画像
ブラジル代表のカナリア色のユニフォームは、ある悲劇を契機に誕生した。撮影/原壮史

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、あの、黄色いユニフォームについて。

W杯初優勝を目指して

「黒いダイヤモンド」と称賛された天才ストライカーのレオニダスを擁して3位を占め、初めて世界に「ブラジルサッカー」を認識させたのが1938年のフランス・ワールドカップ。その大会から12年ぶりに再開された1950年大会、国民はブラジルの初優勝を信じて疑わなかった。

 この大会は4組で1次リーグを行い、各組1位の計4チームが総当たりの「決勝リーグ」を行って優勝を決めるというものだった。ワールドカップの歴史上、唯一「決勝戦」が行われなかった大会である。

 しかし決勝リーグの最終日、1950年7月16日にリオデジャネイロのマラカナン・スタジアムでのウルグアイ×ブラジルは、事実上の決勝戦となった。この決勝リーグに入って、ブラジルはスウェーデンに7-1、スペインに6-1と破壊的な攻撃力を見せて優勝に王手をかけ、一方のウルグアイはスペインと2-2で引き分け、スウェーデンに3-2で逆転勝ちと苦戦続きながら2位につけていた。最終戦、ブラジルは「引き分ければ優勝」という圧倒的優位な立場にあった。

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