■新外国人・アルトゥールが指揮官の「基準」を示す

 シーズン前の補強は、「現実的な幅」で収まっている。オフにクラブの経営に関する方向性の転換があったことで、選手人件費が抑えられたことがその理由のひとつと考えられる。

 大型補強はなかったものの、長澤監督が求める人材は揃った印象だ。CBにJ2で実績を積んできた袴田裕太郎(29歳)を加え、セントラルMFにはJ1の京都サンガFCから武田将平(31歳)を迎えた。武田はファジアーノ岡山で選手と監督として、京都サンガで選手とヘッドコーチとして、長澤監督とともに戦っている。指揮官の思考に触れてきた彼は、加入1年目ながらキャプテンを務めている。

 中盤にはもうひとり、頼もしい選手が加わった。

 アルことアルトゥール・シルバ(30歳)である。

 長澤監督は24年に、当時J3のRB大宮アルディージャの監督に着いた。そのタイミングで、このブラジル人MFはRB大宮の一員となった。さかのぼればFC東京でも長澤監督と共闘したアルトゥールは、24年のJ3でRB大宮のJ2昇格を力強く後押しした。25年はケガで長期離脱を強いられたものの、ピッチに立てば抜群の存在感を発揮した。

 今シーズンもRB大宮の一員として迎えたが、同クラブが2月9日にブラジル人MFカウアン・ディニース(21歳)の獲得を発表した。その2日後に、アルトゥールのベルマーレ入りが発表されたのだった。RB大宮の外国人枠が公式戦に出場できる人数を超えていたのに対して、ベルマーレはアルトゥールと同じ前RB大宮のFWファビアン・ゴンザレス(33歳)だけである。即戦力として迎えられる環境が整っていた。

 果たして、アルトゥールは移籍直後の第2節からスタメンに名を連ねた。八戸と対戦した今節も、3-4-2-1のセントラルMFで先発した。

 アルトゥールはボールを奪いきる強さを持つ。デュエルで存在感を発揮しながら、奪ったボールを前へ運んでいくことができる。周囲の選手を使い、使われることもできる。そのうえで、90分にわたってハードワークできる。長澤監督が求める基準を、ピッチ上で示していく存在と言える。

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