後藤健生の「蹴球放浪記」第292回「世界のサッカースタジアムの側には川がある」の巻(2)日本が生んだ天才建築家が設計した「ロシアと日本のスタジアム」の意外な共通点の画像
霧のサンタフェで行われたコパ・アメリカ2011のアルゼンチン対コロンビアの入場券。提供/後藤健生

 四大文明の古代から、人類は水の近くで発展を遂げてきた。その流れは現代にも続いており、サッカーも無縁ではない。蹴球放浪家・後藤健生が、サッカーと川の「深~い」関係をつづる。

■ロシアW杯「日本代表」思い出の地

 2018年のワールドカップのときにはロシア各地を回って、ヴォルガ川の大きさを実感したものです。ニジニーノヴゴロドのヴォルガ川とオカ川の合流点あたりは、本当に海ではないかと思うくらいの川幅がありました。

 ニジニーノヴゴロドのスタジアムは、その合流点のそばにありました。日本がポーランドと戦ってフェアプレー・ポイント差でグループリーグ突破を決めたポーランド戦が行われたヴォルゴグラードや、ラウンド16でベルギーに大逆転負けを喫したロストフ・ナ・ドヌーのスタジアムも、スタジアムはそれぞれヴォルガ川やドン川に面していました。

 そもそも、ヴォルゴグラードとは「ヴォルガの街」という意味ですし、「ナ・ドヌー」というのは「ドン川に面した」という意味です。

 スタジアムを建設するにはかなり広い土地が必要になりますが、川のそばには川が氾濫することもあって未利用の土地が残っているのです。

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