「テストは終わった」と公言して臨むも…初の外国人指揮官ニールセン監督に対する疑問、ポジティブな材料は…【4月以降わずか1勝「かつての世界一」なでしこジャパンの大問題】(3)の画像
サッカー女子日本代表で初の外国人監督となったニルス・ニールセン監督。なでしこジャパンを高みに導けるか。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 サッカー日本女子代表が勝てなくなっている。2011年にはワールドカップを制し、世界一に輝いたなでしこジャパンだが、今年4月以降、1回しか勝利がない。終わったばかりの欧州遠征でも1分1敗。なぜ勝利から遠ざかっているのか。現在のチームに、何か足りないものがあるのか。サッカージャーナリスト後藤健生が問題点をあぶり出す!

■原因は「前線の守備」と「最終ライン」の連係

 こういう現象が引き起こされたのは、前線の守備と最終ラインとの連係がないのが原因。前からプレスに行っても、最終ラインを押し上げられない(あるいは、最終ラインが下がっているのに前線が無理にプレスに行ってしまう)。そして、FWやMFのプレスバックがなく、最終ラインの前にボールを入れられると、そこでDFが“裸で”さらされてしまう。

 かつての、強かった頃のなでしこジャパンはパスワークも素晴らしかったが、組織的守備で粘り強く守ることができていた。

 前線や中盤での守備で相手ボールをアウトサイドに押し出したり、逆に中央に寄せることでいわゆる「奪いどころ」を明確化させる。そうした、守備の戦術、守備の戦略を持って戦っていたのだが、今のチームにはそうした守備の組織というものが見えてこない。

 つまり、攻撃面と同じように、守備面でも「個の力」頼りなのだ。

「DFが1対1で相手FWを止める責任を持つ」

 そうした考え方は大事なことだ。

 だが、やはり国際試合で強い相手と戦うのなら、組織的守備を構築しないことには失点を防ぐことはできないのではないか……。

  1. 1
  2. 2
  3. 3