■監督の「選手時代が思い出せない!」理由

 さて、そのモロッコに完敗したU-20アルゼンチン代表を率いていたのは、ディエゴ・ロドルフォ・プラセンテ監督でした。

 プラセンテ、プラセンテ……。確かに、かつて代表で活躍していたDFのはずです。名前は憶えています。僕は画面を見ながら心の中で「プラセンテ、プラセンテ……」と繰り返して記憶の糸をたどっていました。画面に映るプラセンテ監督の顔を見ながら、昔の記憶を呼び覚まそうとするのですが、なかなか選手時代のことが思い出されません。

 と、そのとき、思い当たったのです。「ヘアスタイルがまったく違うのだ!」と。

 現役時代のプラセンテは長髪で、頭の後ろで束ねていた時代もありますし、もう少し短くしてからも毛髪量が多いので頭が大きく見えたものです。

 ところが、アルゼンチン・ベンチ前のテクニカルエリアにいるプラセンテはまったく普通の短い髪型をしているのです。

「ああ、それで思い出せなかったんだ」

 謎が解けてからは、選手時代のさまざまなシーンが懐かしさをもって浮かんできました。

(2)へ続く
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