大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第175回「日本代表と対戦も? ワールドカップ初出場国カーボベルデを知る」(2)カタール大会「4強」との共通点、15か国から「国外生まれの選手」が集結の画像
ワールドカップ初出場となるカーボベルデ代表には、カタール大会で4強入りした「モロッコ代表」との共通点がある。撮影/渡辺航滋(Sony α1使用)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、人口60万のワールドカップ出場国について。

■「最も難しいチーム」を預かる代表監督

 監督ペドロ・レイタオン・ブリト(55歳)はカーボベルデの東端にあるボアビスタ島出身、アンゴラ、ポルトガルでプレーし、カーボベルデ代表28試合出場のキャプテンであり、センターバックだった。2020年に代表監督に就任し、2021年、2023年と2大会連続してアフリカ・ネーションズカップの決勝大会出場権を獲得、2021年にはベスト16、2023年にはベスト8と、順調に成績を伸ばしてきた。出身地から、「ブビスタ」の愛称で通っている。

 しかし、その仕事は世界の代表監督のなかで最も難しいものかもしれない。選手はすべて国外のクラブでプレーし、大半が「カーボベルデ系」として国外で生まれ育った選手である。10月の2試合(リビアとのアウェーゲーム、エスワティニとのホームゲーム)に備えてブビスタは25人の選手を選出したが、その所属クラブは、なんと15か国にもわたっているのである。

 ポルトガルが5人、イスラエルとトルコが3人ずつ、キプロスとブルガリアが2人ずつ、そしてハンガリー、アイルランド、フィンランド、ルーマニア、オランダ、ドイツ、ロシアの欧州7か国と、サウジアラビア、UAEのアジア2か国、さらにアメリカを加えた計10か国が1人ずつ。これ以外に過去1年間に招集された選手には、フランス、スペイン、インドネシア、ウェールズ、スイスのクラブ所属がいる。

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