■エンリケ航海王の探検隊が「発見」

 カーボベルデはアフリカ大陸本土ではなく、その西、はるか大西洋上にある島国なのである。国名はポルトガル語で「緑の岬」を意味するが、その「ヴェルデ岬」自体は、アフリカ本土の西端、セネガルの首都ダカールを含む半島である。1444年、日本では室町時代の中期に、ポルトガルの「エンリケ航海王」が派遣した探検隊がこの岬を「発見」して「緑の岬」と名づけた。そして、その数年後、探検隊は、この岬の西650キロの大西洋上にいくつもの火山島を見いだし、その島々を「緑の岬に付属する島々」と呼んだという。

 紀元前に地中海を制覇したフェニキア人がこの島を訪れ、中世には航海技術に長けていたアラビア人が塩を求めてこの諸島にやってきていたという話もある。しかし、ポルトガル人が「発見」したときには無人島であり、そこからポルトガル人の入植が始まった。気候は年間を通じて20度から30度と快適。しかし、中緯度の乾燥帯にあるため、雨が非常に少なく(同じ緯度のアフリカ本土ではサハラ砂漠が広がっている)、年間300ミリほどしか降らないため、農業に適さなかったことから大規模な入植は行われなかった。この島々の重要性が増したのは、16世紀になってアフリカから南北アメリカ大陸に向かう奴隷船の中継地となってからだった。

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