■PK失敗、一発レッドも…執念の同点弾

 しかし、このゴールで京都イレブンの闘志に火がつく。両サイドを起点に波状攻撃を仕掛けると、前半36分に須貝英大が左サイドからペナルティエリア内に進入したところで、小野瀬康介に倒されてPKを獲得する。ところが、原大智が蹴ったPKは湘南のGK真田幸太にセーブされて同点にできず。すると前半アディショナルタイム突入寸前、裏へのロングボールに反応した湘南の中野を、京都DF鈴木義宜がスライディングタックルで倒して一発レッドで退場となった。

 10人で逆転を目指すことになった京都は、後半開始から投入された中野瑠馬や最終ラインの宮本優太が積極的な持ち上がりでボールを進め、数的不利を運動量で補いながらゴールを目指す。それに対して湘南は、ショートカウンターで何度も決定機を迎えたが、シュートが決まらず、2点目を奪って試合を終わらせることができない。

 終盤になると、京都が猛攻を仕掛ける。そして後半アディショナルタイム10分、右サイドの山田楓喜が上げた左足クロスに、大外から走り込んだ飛び込んだ須貝英大が頭で合わせて起死回生の同点ゴールを叩き込んだ。

 試合は1−1で終了。互いに目指すものが異なった中での“痛み分け”となった。

 それでも目指すものも、次の1試合でやるべきことも変わらない。次戦の鹿島戦での自力首位奪還はかなわない京都だが、優勝するために鹿島から勝点3を奪うのみ。残り4試合で、その差は5となっている。一方の湘南は、横浜FMとの勝点差が8となってしまったが、9ならば逆転まで4試合必要だった。逆転できる可能性がわずかながら高まったとも言える。強引にポジティブに捉えるならば、差が6でも8でも3試合かかるのは変わらない。

 勝たなければ何も起こらない。両チームともに、可能性がある限り、勝利だけが必要な戦いに全力を尽くし続けるのみだ。勝ちさえすれば、最後にこの1ポイントが意味を持つ可能性が生まれてくるかもしれない。

 

■試合結果
湘南ベルマーレ 1-1 京都サンガF.C.

■得点
29分 鈴木章斗(湘南)
90+10分 須貝英大(京都)

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