昨年15位・水戸「躍進の前兆」は2月の鹿島戦、J2上位対決が教える「日本代表に足りない」フットボールの原点【水戸VS千葉「最高の名勝負」が示した日本代表「ラウンド16突破」のカギ】(2)の画像
J2上位対決でサッカー日本代表MF佐野海舟級のボール奪取能力を発揮した水戸ホーリーホックMFの大崎航詩。水戸のホームで繰り広げられた激しくもフェアな一戦には「フットボールの原点」があった。撮影/重田航

 例年、熾烈な昇格争いが繰り広げられるJ2。今シーズンもまさに「死闘」と呼ぶにふさわしい対戦が続いている。第33節では、首位の水戸ホーリーホックと3位のジェフユナイテッド千葉が激突。J1昇格への大事な試合でありながら、希代の名勝負となった一戦を、サッカージャーナリスト後藤健生が熱意を込めて分析する!

■柴崎岳と知念慶と「互角」に戦ったボランチ・コンビ

 ジェフユナイテッド千葉は、小林慶行監督が就任して以来、アグレッシブなチームづくりを進め、2023年が6位、24年が7位と昇格争いに絡み続けてきた。そして、今シーズンは昨年までの得点源だった小森飛絢(現、浦和レッズ)を失ったものの、昨シーズンまでの反省を踏まえて、アグレッシブさと同時に安定感のある戦いを進めて、これまで上位をキープし続けている。

 一方の水戸ホーリーホックは、2023年は17位、昨年は15位とJ2リーグでも中位から下位に低迷していただけに、首位をキープし続けた今シーズンの戦いぶりは大きな驚きでもある。

 ただ、その前兆はあった。

 今年の2月1日にあった「いばらきサッカーフェスティバル」で、水戸は鹿島アントラーズ相手に善戦したのである(結果は1対1の引き分け)。

 この試合でも、やはり水戸のMFは能力の高さを示した。千葉戦のときにはMFは大崎航詩と山崎(※崎は“たつさき”)希一だったが、鹿島とのプレシーズンマッチで山崎と組んだのは川上航立。当時22歳の大卒新人だったが、山崎と川上のボランチ・コンビは鹿島の柴崎岳知念慶と互角に戦って見せたのだ。

 単にボールを奪うだけでなく、奪ったボールを効率的に前線に運ぶ能力も高かった。

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