
サッカー日本代表が、歴史的な勝利を挙げた。唯一ワールドカップ全大会に出場し、最多5度の優勝を誇る「王国」ブラジル代表から、史上初めて勝利したのだ。なぜ快挙は成し遂げられたのか。また、来年の北中米ワールドカップに向けて、どのような意味を持つのか。ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り尽くした!
■「よしやれるぞ!」本当に貴重な勝利
――ワールドカップまで1年を切っているわけですが、この数か月でも浮き沈みがありました。ブラジル戦の勝利をどうとらえて今後に臨むべきでしょうか。
大住「チームにはガンガン波に乗っている時期も、うまくいかない時期も必ずある。アメリカ遠征で2試合無得点に終わった9月は、その沈んだ時期だったと思うけど、この勝利によってチームの雰囲気は随分変わると思うんだよね。パラグアイに勝っていたとしても、これほど変わらなかったんじゃないかなと思う。ブラジルに勝ったことでファンもメディアも含めた皆が、よしやれるぞ、また頑張ろうという気持ちになるよね。それがすごく大きいと思う。だから、本当に貴重な勝利だったと思うし、これがうまく11月と来年に入ってからの最後の準備につながって、良いワールドカップにできるといいけどね。後から振り返って、あそこがターニングポイントだったと言える試合になるかもしれない」
後藤「勘違いするにしても、それをうまく利用して勢いにつなげたいね」
大住「ワールドカップ優勝8か国うち、6チーム目を撃破したんだからね。新しい選手も出てきた。望月ヘンリー海輝なんて、どんどん良くなっているよね。最初は不安な点も見えたけど、しっかりした武器を持っているから、森保一監督は使っていると思う。その武器をちゃんと活かせるようになっているし、攻守とも急成長しているような気がする」
後藤「今回のブラジル戦のようにゲームをクローズする必要があるときに、高さがある選手の存在はうれしいよね。相手がどんどん放り込んできても、望月の高さがあって鈴木彩艶がいれば大丈夫だ」