
J3の試合で、どうにも釈然としないゴールが生まれた。勝敗を決するものではなかったが、けっして軽視していいものではない。サッカージャーナリスト大住良之が、このゴールの解釈を通じて、Jリーグを含む現代のサッカーの「問題点」に警鐘を鳴らす!
■あまり見た記憶のない「得点」
9月13日に福島市の「とうほう・みんなのスタジアム(福島県営あづま陸上競技場)」で行われたJ3の「福島ユナイテッド×カマタマーレ讃岐」で、あまり見た記憶のない得点が生まれた。
ホームの福島が4点目を決めたのは、DAZNの中継映像の時計表示によれば、96分34秒のことだった。得点者は後半のアディショナルタイムに入る直前に交代出場したFW矢島輝一である。この得点でスコアは4-2となり、福島は8月からの負けなしの記録を5試合に伸ばし、順位を2つ上げて8位とした。
激しい試合だった。前半37分に福島が相手のオウンゴールで先制すると、後半12分に讃岐が追いつき、5分後に福島が再度リードを奪えば、讃岐も後半29分に得点。2-2で後半アディショナルタイムに入った直後、福島はMF狩野海晟の見事なスルーパスをハーフライン付近で受けたFW森晃太がそのままドリブルで進んで見事なシュート決め、3-2と勝ち越した。
この直前に示されたアディショナルタイムは「5分」。得点後の時間の空費により、あと1分は追加されるはずだ。そして、ハーフライン近くの讃岐陣左で福島DF當麻颯が讃岐FW川西翔太にファウルして讃岐にFKが与えられたのは、DAZNの表示で96分を回ったときだった。