■封じ込めた「最終ライン」からのパス回し

 日本は前線の選手たちがメキシコの最終ラインからのパス回しを完全に封じてしまった。

 日本はCBに負傷者が続出して不安視されていたが、前線からの組織的守備が機能したおかげでCBの負担は軽減され、センターで起用された渡辺剛はラウル・ヒメネスとの空中戦で優位に立ち、板倉滉は積極的に前に出て何度もパスカットに成功していた。

 さらに危険な場面では遠藤航がカバーに入って“格の違い”を見せつけ、さらにメキシコのサイド攻撃に対しては日本の両ウィングバック、堂安律や三笘薫が守備の強さを見せて貢献した。

 そして、日本の組織的守備にはめ込まれてしまったにも関わらず、メキシコはシステム変更などの対応もできなかった。

 今年のCONCACAFゴールドカップ決勝でライバルのアメリカに完勝するなど、これまでワールドカップに向けて順調に準備を進めてきたメキシコにとっては、まさに警鐘を鳴らされたような試合だった。

 日本代表選手の多くはヨーロッパから、あるいは日本からの長距離移動の後でコンディションは万全でなかったはずだ。一方、メキシコ代表には国内リーグ所属の選手も多く、そういった意味でも優位に立てるはずの準ホームでの試合で日本に完封されたのだから、メキシコにとってショックは大きかったのではないだろうか。

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