■格安な移籍金で「欧州の三流クラブ」へ
サッカーにはサッカーの世界の「ルール」がある。それは、世界各国のクラブや国内サッカーを保護し、サッカーという競技の文化を保っていくためのルールだ。しかし「ボスマン判決」でも明らかなように、プロサッカーを他の経済活動と同じ「法」の立場で見ていけば、「ビジャレアル×FCバルセロナ」をビジャレアルでやろうとマイアミでやろうと、関わる当時者が合意さえすれば、どこでも自由なのである。
「法」は、サポーターの思いや、クラブの伝統や、サッカー界が紡いできた文化などには関心がない。FIFAが自らの規定を楯にスペイン国外でのリーガ・エスパニョーラの開催を禁止しても、当時者から訴訟を起こされたら、勝つのは難しいかもしれない。
しかし、このまま欧州クラブの「世界戦略」を看過していたら、世界各国のプロサッカーは立ちゆかなくなる。Jリーグがいくら「ビッグクラブ化」「ビッグリーグ化」を目指しても、時間と労力をかけて育てた貴重なタレントを欧州の三流クラブへの格安な移籍金で引き抜かれる「選手供給源」のひとつの立場を抜け出すことなど不可能だ。








