■クルークスという絶対的な「個」
磐田の4-2-1-3で右ウイングを担うクルークスは、ここまでリーグトップの7アシストを記録している。1試合平均クロス数、ドリブル総数、敵陣パス数といったスタッツで、リーグトップに君臨している。総シュート数はチームトップだ。
この試合では開始早々に左足でクロスを供給すると、6分、7分と縦突破から右足でクロスを供給している。16分の右足クロスは、FW佐藤凌我の決定的なヘディングシュートにつながった。
右サイド深くでパスを受けたクルークスは、高確率でクロスを入れることができている。左利きだが右足でのクロスも多い。彼がボールを持つと、味方選手は自信を持ってゴール前へ入っていくことができる。ゴール前へ入らない選手は、クルークスのサポートではなくクロスを跳ね返されたあとを考えてポジションを取ることができる。それによって、攻撃を継続できる可能性が高まる。
クルークスは味方を使うこともできる。トップ下や右SBが右ポケットへ侵入したら、迷うことなくパスを通している。そのプレー選択がまた、守備側を困らせるのだ。
クルークスという存在は、相手守備陣を攻略する明確な答えとなっている。その存在が強力な「戦術」となっていると言ってもいい。