■優勝チームよりも「マンU」

 ちょうどイングランド・リーグ開幕の時期である。私は帰国直後の「10月10日号(9月10日発売)」に、表紙だけでなく、カラーグラビア10ページ、モノクログラビア10ページ、そして本文13ページ、計34ページをマンチェスター・ユナイテッドだけに使う「無謀」とまで言える企画を立て、意気揚々、羽田空港(成田空港はまだ開港していなかった)からBA(英国航空)機に乗り込んだ。

 前シーズンのイングランド・リーグチャンピオンはリバプールだった。伝説の名監督ビル・シャンクリーは1974年に引退したが、後を継いだボブ・ペイズリー監督はより鉄壁なチームを築き、ケビン・キーガンを中心としたチームは強力そのものだった。前シーズンにはUEFAカップでも優勝を飾り、この年は欧州チャンピオンズカップで初優勝を狙っていた(実際、このシーズン、リバプールはイングランド・リーグとチャンピオンズカップの「2冠」を達成する)。

 そのリバプールにはまったく触れず、マンチェスター・ユナイテッドだけで34ページもの大特集なのである。それは、「サッカー・マガジン」の編集部が、そろってユナイテッド・ファンだったためだった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3