■「素晴らしい攻撃」を可能にするのは?

 まず、どの年代のチームを見ても、日本人選手のテクニックや個人戦術的な部分は非常にレベルが高いことが改めて証明された。

 ボールを扱うテクニックはもちろん、ボールを受ける前のポジション取りとか、体の向きの作り方で、相手にチェックされるのを防げているので、ボールを奪われずにつなぐことができる。

 相手のライン間に位置を取ってパスを引き出すとか、サイドバックが前線の状況を見極めて、タッチライン際をオーバーラップするのか、あるいは中のレーンから相手ペナルティーエリア内に侵入するかといった判断もうまい。

 おかげで、パスが何本もつながって相手守備陣を崩し切ってゴールを奪うシーンが何度も見られた。

 たとえば、モーリス・レベロ・トーナメント(旧トゥーロン国際)に出場しているU-20日本代表が、メキシコから奪った先制ゴール。

 MFの小倉幸成が右サイドの中川育にボールを預け、中川をサポートした大関友翔に渡った瞬間、2人より中のレーンを使って、右サイドバックの梅木怜が相手陣内深くのポケットを取る。大関からのパスを受けた梅木は、相手DFと競り合いながらも、マイナスのクロスを入れ、左サイドハーフの西原源樹がダイレクトで決めた。

 U-16代表は、Jヴィレッジで行われた「インターナショナル・ドリームカップ」最終戦でフランスと対戦した。2勝同士の事実上の決勝戦で、前半開始直後はフランスに押し込まれる時間もあったが、センターバックがよく耐え、またオフサイドにも助けられて日本は無失点で切り抜ける。

 そして、20分、左サイドでのスローインから1タッチ、2タッチのパスが小気味よくつながった。そして、センターFWの高木瑛人が1タッチで落としたボールを小笠原央がシュートし、GKが弾いたボールを再び拾った小笠原がつないで、最後は和田武士が右に振って最後は三井寺眞が決めた。

 あれだけパスをつながれたら、フランスにとってはかなりのショックだったろう。

 A代表も含めて、最近の日本チームはこうした素晴らしい攻めがよく見られる。テクニックと戦術眼のレベルが高いからこその攻撃力である。

(2)へ続く
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