■特別登録期間に各チームが新戦力を補強
RB大宮が敵陣でボールを動かしながらフィニッシュへ持ち込み、愛媛がしのぎながらカウンターを狙う構図で、試合は終盤へ向かっていく。相手ゴールを何度も脅かしながら、RB大宮はネットを揺らすことができない。上位チームが苦しむ典型的なパターンに陥りつつあったが、90+1分に途中出場のFW豊川雄太が同点弾をゲットする。ペナルティエリア左角付近から下口があげたクロスを、ゴール右からヘディングで合わせた。
愛媛のペナルティエリア内には、相手選手が8人いた。対してRB大宮は3人である。シュートへ持っていく空間は見つけにくかったはずだが、豊川はDFの背後を取って瞬間的にフリーとなった。愛媛戦へ向けたトレーニングで、長澤徹監督が「ゴール前の密集でも、立ちかたひとつでスペースはある」とのメッセージを送っていたなかで、豊川がチームを敗戦から救ったのだった。背番号10はここ5試合で4ゴールと調子をあげており、2試合連続得点である。
土壇場で勝点1をつかんだRB大宮は、勝点35で2位をキープした。10戦負けなしで6連勝の水戸ホーリーホックが同勝点で並び、この2チームが首位のジェフユナイテッド千葉を勝点2差で追いかけている。
RB大宮は9日、CBイヨハ理ヘンリーをJ1のサンフレッチェ広島から獲得したと発表した。6月1日から10日までの特別登録期間(ウインドー)を利用したものだ。
RB大宮のU-20日本代表CB市原吏音は、9月末開幕のU-20ワールドカップ出場が確実視されている。U-20日本代表は現在も海外遠征中で、市原は8日の愛媛戦を欠場した。今後もチームを離れることが想定されるため、CBを補強したのだ。
4位のベガルタ仙台は、J3の高知ユナイテッドからFW小林心を獲得した。仙台の前線ではブラジル人FWエロン、新加入の宮崎鴻、梅木翼らが起用されているが、得点ランキング上位に顔を出している選手はいない。チーム内得点王は、サイドハーフが主戦場のMF郷家友太だ。
森山佳郎監督就任2年目の今シーズンは、自動昇格圏を狙える位置にいる。J3で13戦10発と結果を残している24歳の獲得で、得点力アップをはかるとの目算だ。
6位のジュビロ磐田も補強に動いた。ベルギー人CBヤン・ファンデンベルフを獲得した。188センチのサイズを持つ30歳は左利きで、直近のシーズンはエールディビジのNACでプレーした。即戦力での加入となる。さらにはタイ代表FWポラメート・アーウィライも獲得した。CFとウイングの候補として、前線の選択肢となる。
9位のFC今治は、川崎フロンターレからMFパトリッキ・ヴェロンを期限付き移籍で補強した。パスセンスに溢れるブラジル人はすでに新天地デビューを飾っており、FWマルクス・ヴィニシウス、FWウェズレイ・タンキとトライアングルを形成している。勝点獲得のペースが落ちているチームの、起爆剤となれるか。
黒星先行で12位の北海道コンサドーレ札幌は、ブラジル人FWマリオ・セルジオの獲得を9日に発表した。
シーズン折り返しを前に、補強へ動くチームはさらに出てくるだろう。ウインドーが閉じるまで、目が離せない。








