■攻撃が形になってきた「証となる」3つの要素

 この時点でフリーのグスタフソンのパス選択コースはワイドの渡邊と金子、真ん中の松尾、走り込む荻原の4人になっている。その中でグスタフソンは得点に絡める確率の高い渡邊を選択した。渡邊はゴールキーパー(以後、GK)とディフェンダーの間にグラウンダーのクロスを入れる。ゴールエリアに飛び込んできた荻原がスライディングしながらシュートするが、ボールはゴール脇に転がる。

 このシーンは、浦和の攻撃が形になってきたことの証となる3つの要素が表現されている。
① 中盤のパッサーがフリーでボールを持てる。
② パッサーの選択肢が3つ以上はある。
③ 攻撃の際、ぺナルティエリア内に4人は入り込んでいる。

 こうした攻撃のきっかけを作ったのは、サヴィオの1本のダイレクトパスだ。石原広教からサヴィオとグスタフソンへのトライアングルのパス交換。あそこでダイレクトパスではなく、ボールを少しでも保持していたら、プレスに来た2人に囲まれてフタをされてしまう。なおかつ、横浜FCの選手に帰陣する時間を与えてしまう。そうするとグスタフソンにも人がつくことになる。

 なんでもないように見える1本のパスかもしれないが、試合の中でも分かりやすい、サヴィオの働きが大きい場面だった。
 
 記事後半では、43分の先制ゴールの場面から分析していこう。

(2)へ続く
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