■2人を食いつかせて「ダイレクト」で前線へ
【6分の荻原拓也のシュートの場面】
この場面のポイントは、フリーでグスタフソンがバイタル前に、なぜドリブルでボールを運べたのかにある。横浜FCは3バックなので、浦和の両WGがワイドにポジションニングした場合、ウイングバック(以後、WB)が降りてきて、5バックにしないと対応できない。しかし、WBが高い位置をとって攻撃参加しないと、前線の人数が少ない中での攻撃になってしまう。だから、WBが低いポジションをとって、3バックの守備陣と合流して5バックになってばかりではいられない。 したがって、WGをワイドにポジショニングさせる浦和の渡邊と金子拓郎は、フリーになる確率が高い。
そこで横浜FCがやらなければいけないのは、守備の際に高い位置をとっているWBを素早く最終ラインに帰陣させることと、浦和のWGにボールを出させないように、相手の中盤の選手のパスコースを遮ることである。
この場面は、横浜FCの選手が浦和の中盤でのパスを阻止しようとしたのだが、ある選手にうまくかわされて、フリーでボールをもたれて、フリーの選手にパスを出されたというシーンである。
ある選手とは、トップ下のサヴィオのことだ。サヴィオが右サイドにいたとき、パスを受ける際に横浜FCの2人の選手がプレスにいこうと寄ってきている。ここで2人を食いつかせて、サヴィオはダイレクトで前線に動いているグスタフソンにパスを出す。グスタフソンはフリーでボールをもらえている。
映像の6分22秒の場面を静止して見てもらいたい。渡邊と金子がワイドにポジショニングして、ワントップの松尾佑介がセンターバック(以後、CB)の間にポジショニングしている。さらに萩原がインナーラップしてバイタルエリアに入ってくる。