■育成型期限付き移籍の考え方

 今回のU21Jリーグの参加によって、育成型期限付き移籍が極端になくなるわけではない。竹内弘明強化本部長は「いや、そこはハイブリッド」と答えており、選手の特性などによって見極めていくかまえだ。
「”構想ありき”というよりは”人を見て”しっかりその人の育成を考えて、アサインしてやっていくというふうにしたい」
 指導者についてもいくつか質問を重ねたが、「柔軟に考えたい」としたうえで、「当然、トップのコーチなどが指揮をしてもらいたい」と考えを示す。理由は、チームとしては年齢に関係なく「同じサッカーを目指す」から。
「だから」と接続詞を付け足して、「コーチには(トップチームからだけでなく)アカデミーからも呼びたい。そうすると、今、トップでやっているサッカーが自然とアカデミーのコーチにも伝わっていく。アカデミーとしても、フロンターレがやろうとするサッカーについての会話やコミュニケーションが増える」とも話す。
 これまで世界に多くの選手を羽ばたかせてきた川崎フロンターレ。その実績と可能性をさらに広めるべく、26年から新たな挑戦に身を投じることになる。コスト面ではかなりかかることになりそうだが、それでもその先に見据えるのは、このクラブが持つポテンシャルを最大限に生かすこと。クラブが持続的に競争力を保つため、そして何より選手のため、川崎フロンターレは大きな決断と挑戦を選んだ。
(取材・文/中地拓也)

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