■「もっとやらなきゃいけない」と見据えるもの

 とはいえ、高井同様に、佐々木も変わっている。昨年までとは違って、ピッチの上でより多くの選手とコミュニケーションを取るようになった。少し時間が空けば周囲の選手を呼んで身振り手振りを見せながら確認する様子は幾度となく見られる。また、交代して入ってくる選手と積極的にコミュニケーションを取る場面も見慣れたものだ。
 そんな思いを本人に投げかければ、「そうですね。ロッカールームでも話す機会が増えましたし、今まで、言いたいことがあっても“まあ、いいか”って言ってない場面がありましたけど、やっぱり勝ちたいですし、自分がもっと上に行きたいって思いと、あとは幸大とかそういう存在を見て、もっとやらなきゃいけないなと思わせてくれるので、そこは意識は変わりました」と自信たっぷりに話す。
 だからこそ、キャプテンマークを巻く回数も多くなった。脇坂泰斗という絶対的なキャプテンがいるとはいえ、この過密日程では脇坂が常にピッチに立ち続けることはできない。交代してピッチから出る際、脇坂は自らに巻かれていたキャプテンマークを渡して外に出ることが見られる。託される回数が増えることは、信頼を積み重ねた証だ。
 ここからどこまで成長を続けるのか。その天井は見えない。プロ1年目の麻生グラウンドで、「迷っています」と何度も口にしていた佐々木はもういない。Jリーグのピッチでスーパーな姿を見せつづけることが当たり前になっている。それ以上のまぶしすぎる未来が待っているだろう背番号5には、楽しみしかない。
(取材・文/中地拓也)

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