大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第164回「サッカー漫画と言えば…」(1) イニエスタやエムバぺも憧れた「サッカーの申し子」、日本初のサッカーアニメ主人公は「ドラえもん」に!の画像
「UEFA EURO2024」では、負傷のためにマスクで出場したフランス代表エースのキリアン・エムバぺ。彼は少年時代、「ボールは友達」の「サッカーの申し子」のプレーに憧れていたという。撮影/原悦生(Sony α1使用)
■【画像】『キャプテン翼』作者・高橋陽一先生とロベルトノート52ページの中身!

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム。今回は、白い紙に「世界」を創造する素晴らしい仕事。

■『アオアシ』を見て「勉強」

「『アオアシ』を見て戦術を勉強しました」

 私が監督をしている女子チームで、20代の選手がそう話しているのを聞いてたまげた。サッカーのお手本の映像を見ようと思ったらYouTubeで無限にあるのに、漫画やアニメで学ぶなんて…。

 サッカー漫画と言えば、「ボールは友達」のサッカーの申し子が主人公の『キャプテン翼』である。

「週刊少年ジャンプ」で1981年から1988年まで連載され、後にテレビアニメにもなって日本中のサッカー少年たちに影響を与えた。

 1977年に始まった「全日本少年サッカー大会(現在のJFA全日本U-12サッカー選手権大会)」は、日本サッカーの裾野を大きく広げたが、日本サッカーのひとつの「どん底」の時代、『キャプテン翼』がなければ、小学生たちの間にあれほどのサッカー熱は生まれなかっただろう。

 後にアニメ化されてテレビ東京などで放映されて、これも人気を博し、アニメは50か国以上に輸出されて世界中のサッカー少年たちをトリコにした。Jリーグ選手はもちろん、アンドレアス・イニエスタやキリアン・エムバペといった世界的なスター選手もこのアニメのプレーに憧れて練習に励んだという。

 コミックス自体も全世界で9000万部以上売れていると言われ、作者の高橋陽一(1960~)は2023年に日本サッカー殿堂入りを果たしている。

PHOTO GALLERY ■【画像】『キャプテン翼』作者・高橋陽一先生とロベルトノート52ページの中身!
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