■初優勝の「最大の要因」は…

 これに対して、ベレーザの監督はシニアでのプレー経験の少ない若手選手を、さまざまなポジションで試し、個人を成長させながらチームの成績に結びつけなければならないのである。

 松田監督は、若手選手をさまざまなポジションで、さまざまに組み合わせてテストしながら、“最適解”を見つけることで選手個々も、チームも成長させてきた。

 そうした試行錯誤の中で、センターに30歳のベテラン村松智子を置き、左のストッパーに中堅24歳の松田紫野、右には21歳の若手、坂部幸菜という年齢構成の3バックを完成させ、ボランチも24歳の菅野奏音と18歳の眞城美春で固定した。

 この3バックとボランチ2人の合計5人。チームの中核となるポジションを固定できたことは、初優勝を達成できた最大の要因だった。

 菅野は、パス出しのうまさには定評のあるMFだったが、今シーズンはさらに成長した姿を見せた。

 ゲーム展開やボールの位置に応じて、常にポジションを修正しながらプレーできるようになったことで、攻守にわたってチーム全体を動かせる選手に成長した。WEリーグの中では、浦和Lの中盤を支え続けている柴田華絵(32歳)のような存在になっていくのかもしれない。

 実際、最終節のジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦での菅野のパフォーマンスは素晴らしいもので、2ゴールを決めた山本ではなく、菅野こそがMVPだったような気がする。

(3)へ続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3