■雰囲気が変わったアル・ナスル戦

 アル・ナスル戦は、準々決勝とはまたスタジアムの雰囲気がガラッと変わり、アウェイのような雰囲気が強めに。川崎サポーターの皆さんも、ゴール裏斜め一角に押しやられたような感じなら、最初は横断幕の掲出もNGと言われたのだとか。それでも、現地に駆け付けていたJリーグ職員の交渉もあってやっと横断幕が掲げられたのは、選手ウォーミングアップの少し前。ゴール裏でサポーターの皆さんの熱い気持ちを感じた私は「どれだけの努力をしてこのたくさんの横断幕を飛行機で持ってきたと思っているんだ!」という言葉を出したい気持ちでした。
 肝心の試合はというと、3-2の勝利。この日の先制点は伊藤達哉選手で、大関友翔選手のゴールにも沸き、家長昭博選手のゴールにも歓喜しました。1点リードのアディショナルタイムってなんでこんなに時間の経過が遅く感じるのでしょうね。終了のホイッスルの瞬間、選手スタッフ皆がピッチ上に駆け寄っていく姿は美しさすら感じる光景でした。
 勝利が決まり、私はいつもホームとどろきで行っている勝利時セレモニー「バンザイ三唱」を“ジェッダでやるぞ!”と思い、ゴール裏サポーターエリアに走りました。サポーターの皆さんも歓迎してくれて、ジェッダの地に集まったサポーターの皆さんと喜びを共有。この光景は一生忘れません。
 試合後にミックスゾーン(取材エリア)を笑顔で通っていく選手たちの姿を見て、これをあともう一回、いや、これ以上の笑顔を決勝戦後に見たい、そう切に思ったのでした。
(取材・文/小森すみ恵)
【その4へつづく】

■小森すみ恵(こもり・すみえ)

神奈川県出身、2010年より川崎フロンターレのスタジアムMCを担当。現在、かわさきFMのフロンターレ応援番組「LOVE LOVEフロンターレ」のパーソナリティを務める。

(4)へ続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3