罰則を受けたのは「419試合中」わずか4回、選手や監督が実感した「良い影響」、GKが倒れたままでも「カウントダウン」【7月1日施行「8秒ルール」で日本サッカー界はこう変わる】(3)の画像
三笘薫がプレーするイングランドでも、「8秒ルール」はテストされた。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 この7月、サッカーの景色を一変させるかもしれない「ルール改正」が行われる。ゴールキーパーに対する「8秒ルール」だ。そのルールの内容と、それに対して、どう対応、さらには、どう適応していくべきなのか、サッカージャーナリスト大住良之が徹底検証する!

■驚きの「トライアル」の結果

「トライアル」の結果は、驚くべきものだった。マルタでは179試合、イングランドでは160試合、そしてイタリアでは80試合、合計419試合のトライアルが行われたが、GKがボールを8秒以上保持して罰則を受けたのはわずか4回(このほかに8秒以上保持しながら罰則を受けなかったことが1回あった)で、いずれも試合の終盤の出来事だった。

「罰則」はほとんどのトライアル試合で「コーナーキック(以降、CK)」が設定されていた。スローインではあまりに「罰則」の度合いが低く、CKのほうがよりGKに与える影響力が強いと判断されたからである。第12条の新しい条文でも明らかなように、今年のルール改正でも、罰則はCKとなった。

 トライアルを実施した協会からは、IFABに対して詳細なフィードバックが送られたが、結果は非常にポジティブだったという。当然のことながら、GKの一部はあまり好意的ではなかったが、プレーヤー、監督・コーチ、レフェリー、そして役員など試合にかかわった人のうち、実に63.7%が新ルールは試合に良い影響を与えたと回答したという。さらに「ゲームが速くなった」と答えた人は72.5%にも及んだ。

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