■未体験の感情
悔しいという感情を通り越して、頭が真っ白になる――そうした瞬間はこれまでにもあったのか聞けば、「だいたい、悔しいっていう感情が出てくるので」と話し、未体験の感情だったことを明かす。
そして、「ACLEで思った以上に個の差を感じましたし、そこで自分がどう成長していくかとかも考えたらけっこう頭の中がぐちゃぐちゃになった感じはありました」と、未体験以上に、あまりに衝撃が大きかったことを言葉にするのだ。
一方で、その感情を沸き立たせるものが、大関自身の成長でもある。というのも、出場時間の積み重ねがあればこそ出てくる感情そのものだからだ。大関に投げかければ、次のように誓う。
「試合に出てなければその感情にもならないと思いますし、試合に出て何もできずに悔しいという感情になっているのは、フロンターに戻ってきて、自分の立ち位置が少しずつ上がってきている証拠だと思います。そこはポジティブに捉えつつ、ただ、もっともっと自分が中心になるために」
こう言葉にしたうえで、「同い年ですごい中心になっている人がいるので、高井に負けない」と、すでにA代表の常連になっている高井幸大の名前を挙げる。海の向こうのアジアの舞台だけでなく、下部組織からともに成長してきたチームメイトも大関の刺激となっている。
だからこそ、今の自分の成長に自信を持ってこう話す。
「毎回、フィードバックというか、振り返りで自分の中で整理できている。出場時間が長ければ長いほどそれが濃いものになる」と。
(取材・文/中地拓也)
【「後編」へつづく】








