
悔しい大会になった。サウジアラビア・ジェッダで行われたACLEファイナルズにおいてチームが3試合戦った中で、瀬川の出番は準々決勝の後半9分と延長の前後半を合わせた39分だけ。準決勝、そして決勝では出場機会がなかった。
試合後、ミックスゾーンに出てきた瀬川の表情が当然、暗く、うつむき加減。悔しい気持ちを分かったうえで、謝りながら今の気持ちを言葉にしてほしいことを伝えると、一瞬、口を開きかけたかに思われたが、考え込む。
そしてそのまま29秒、筆者の後ろの壁をじっと見つめながら考えると、「準優勝なのも悔しいですし、そのピッチに立てなかったことも、悔しいです」と言葉を振り絞った。チームのためにと盛り上げ役に徹する場面も多く見られるだけに、その言葉が重かった。
この試合で長谷部茂利監督は最後の交代を84分に行うと、それでも瀬川はウォーミングアップエリアに一人で立ってピッチを強い視線で見つめる。その時の想いを聞けば、「“延長になれ”ってずっと祈ってました」と心の内を明かす。試合に出たい、そして自身の力でこの点差を覆したいという気持ちがその体にあふれていた。