■「ここまで連れてきてくれた」

 今大会はどのようなACLだったのか――。全体を振り返ってもらうと、「僕は今年39歳だしもうそれほど多くのチャンスはないと思ってたので、今大会で優勝を手にできなかったのは自分自身のキャリアの終盤の中で悔しいです」と明かす。
 そして、チームメイトへの気持ちを聞けば、選手だけでなく、さまざまな人へのあふれる思いが言葉になった。
「今大会、選手は本当に何のストレスもなく戦えたので、まずサポートしていただいたスタッフとか料理を作る人だったり、いろんな方に感謝しないといけないと思います。また、やっぱりここまで連れてきてくれたのは、チームメートのおかげだと思うので、チームメートに感謝したいです」
 そして、「彼らはこれからまたこの舞台に帰ってきて取ってくれると思っています」とも言葉をつづけたのだった。
 この悔しさを個人としてどう次につなげていくか。投げかけたその問いには、声色を変えたうえで、「また、1週間後に試合があるのが現実なのでね。今日できなかったこと、勝てなかったことを受け止めて、また1週間後にこれを生かさないといけないと思いますし、まずは気持ちを切り替えてJリーグの方に向かわないといけない」と口にしたのだった。
 チーム在籍9年目、そして、間もなく39歳になる家長にとって、さまざまな思いがあふれた今大会。家長はチームメイトに、スタッフに、そしてサポーターに感謝の言葉を惜しまなかったが、背番号41の躍動があればこそ、今回のファイナリストの座を掴めた。
 家長昭博が味わった悔しい想いと、そしてチームのために見せた活躍は、間違いなくジェッダに刻まれた。
(取材・文/中地拓也)

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