■「鬼さんや、スタッフ陣、今ここにいないチームのみんながつないでくれた」

 蔚山戦に想いを馳せる佐々木に、天皇杯・ラウンド16の高知ユナイテッドSCで決めた佐々木の決勝弾もそこに至ることを話すと、表情を引き締めてこうも口にした。
「2023年にいた選手たち全員でここまでつないでいますし、鬼さんや、スタッフ陣、今ここにいないチームのみんながつないでくれた大会なので、そういった方たちもみんな応援してくれていると思うので、最後、期待に応えて、みんなで喜び合えれば」
 このチームを8年間率いた鬼木達監督、そしてその下でチームのために動いたスタッフや選手全員でジェッダにたどり着いた。佐々木は、そうした全員への思いを口にする。
 もっと言えば、天皇杯を戦い抜くうえで日本各地で気持ちを動かしながら共に戦ってきたことも忘れてはいけない。先述した高知戦は、J1チームを街に迎えるということで大きく沸いた試合だった。当時はJリーグがなかった高知県において川崎との試合はインパクトが大きく、会場となった高知県立春野総合運動公園陸上競技場としては記録的な7243人の観客数を記録してどよめきが湧いたほどだった。
 その試合後、吉本岳史監督(当時)に話を聞くと、「7000人の中でやったことがない選手がほとんどなので、7000人を超える方々に来ていただいて、本当に感謝しています」と、稀有な機会に感謝を惜しまなかった。

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